美しさの境界線
どのお客さまも、ヘアスタイルをうつくしく、きれいにしたいと考えています。
当たり前のことですよね。
ですが、その「きれい」という言葉が曲者です。
何をもってしてきれいとするか、それがとってもとっても大きな問題なのです。
しかも、ヘアスタイルというのは、きれいにすれば良いというだけのものでもありません。
お客さまの社会
お客さまは生活しておられます。
当たり前のことですね。
ですが、これが、とっても大切なことなんです。
お客さまは、皆さん、生活している社会の中で、自分なりのきれいな髪型の境界線を持っているということなんです。
この境界線は、お客様が生きた、そして生きている社会に育まれた「価値観」で作られています。
つまり、美容師はただヘアスタイルをきれいにすれば良いというわけではありません。
お客さまが生活しておられる社会に合わせたヘアスタイルを作る必要があるんです。
社会的境界線 ソーシャルライン
お客さま、皆さんには、生活しておられる社会があり、それを包む境界ラインがあると思うんです。
社会的境界線といえるものでしょうか。
『ソーシャルライン』なんて書いてみたりすると、カッコイイ感じがするでしょうか。
お客さまは、その境界線内での美しさを求めておられるのです。
時には、その境界線をちょっと越えてみたい、という要望もあったりするわけです。
なんだ、そんなことか!当たり前でしょ!、とおっしゃる方もいるかもしれません。
ですが、言うは易しで、この境界線を読み取ることはとても難しいのです。
時には、お客さま自身も気付いておられない場合もあるのですよ。
境界線を読み取るカウンセリングの重要性。
社会的境界線、ソーシャルラインのようなものを読み取るのには、情報が必要です。
ここで、カウンセリングの重要さが出てきます。
もちろん、服装やメイクを見れば、それでも読み取ることはできます。
でも、お客さまがサロンにいらっしゃる際、普段のスタイルで来てくれるわけではないんです。
ちょっとリラックスした服装でいらっしゃいます。
ですから、お客様の社会が見えにくいことも多いんです。
ですから、やっぱり、カウンセリングが重要です。
求めておられる美しさと、どこまで作りこみを許すかという社会性を知るためにもとっても大切なものなのです。
お好きなデザインをうかがうことはもちろん、
好きなアートであったり、
時には、職業をうかがったり、
生活スケジュール、
入浴する時刻、
ヘアスタイルのセット時間などもうかがうこともあります。
求めるヘアスタイルが、お客様が生活しておられる社会にあっているか、ということをつなぐのがとても重要なのです。
そこに、美しさというお客様の好み、個性があるのですから。
また、ヘアスタイルを持ち、扱いセットするのはお客様です。
でもね、そのヘアスタイルを見るのは、他人なんです。
これも大変に面白い点だと思っています。